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今回読んだ本は著『5歳からの哲学』です。
著者について
著者はベリーズ・ゴートさんとモラグ・ゴートさんで、共著となっています。
ベリーズ・ゴートさんは英国スコットランドのセント・アンドリュース大学哲学教授。哲学を通して幼い子どもに創造的で批判的な思考力を育む教育法に力を注いでいます。
モラグ・ゴートさんは英国ファイフのアンストラザー小学校教諭です。
本書は子どもたちに哲学の手ほどきをする実践的な本となっています。「子どもの思考力、集中力、議論する力を飛躍的に伸ばす」ことができるそうです。
内容
哲学の問い
内容ですが、「小学校の道徳の授業に似ているかな?」という印象でした。
短いお話があって、それについて子どもが挙げるであろう「YES」意見と「NO」意見が列挙されています。正解はありません。異なる意見を聞いて、子どもに「自分ならどう考えるか」を促すことに主眼を置いています。
<お話の例>
例えば大きなクマと小さなクマがいたとして、「ケーキをどうわけるのが公平と言えるのか?」
平等にわけるなら半分半分ですよね。でも体の大きなクマはより多くの食べ物を必要とします。公平にわけるなら、大きなクマの方が大きくなるように切り分けるべきなのか?でも、そうすると小さなクマは悲しい思いをしますよね。
本書では正解は書いていません。「?」で終わり、その後どう考えるかは読み手に任せています。
批判的な論理的思考力
「哲学的な問いをすること」だけでなく、哲学にはもう1つテーマがあると言います。それは「その問いに答える方法論」を学ぶことです。答えを説得力あるものにするために、批判的に考えたり、反例を用いたりして、論理を組み立てていく。本書では「YES」意見と「NO」意見が並んでいる理由が、ここにあるのだなぁと感じました。
自分の意見を補強する論理の組み立て。日本では教育に取り入れられることがほとんどないテーマだと思います。自分の意見を言い、いかに説得力を与えるか。海外標準では日本は遅れている部分だと思うのです。
紹介されている哲学のテーマ
目次の内容を紹介します。
- 公平さとルール
- 環境問題
- 友だちと人間関係
- 美徳と悪徳
- 美しさとは
- 感情、信頼
- 夢と錯覚
- 真実
後半になるほど少し変わった問いが出てきて興味深かったです。
中でも「夢と錯覚」「真実」は大人でも頭がこんがらがります。
「人はどうしてスリリングな映画を見て楽しいと思うのか?」「数は見えないし触れるものではないのに、実在するのか?」などなど。古代の哲学全盛期にタイムスリップした気分になりました。
感想
5歳ではまだ難しそう
タイトルに「5歳から」とありますが、この本を読み聞かせるのは5歳では私はまだ難しいような気がしました。我が家の子どもたちは8歳と6歳ですが、1つ話を聞かせただけで飽きてしまいました(残念です…)。
折りをみて再度議論できたらいいなぁと思っています。
ただ、子どもには難しくても、お母さんやお父さんが本書を読んで知識として頭に入れておくのはとても良いと思います。というのも、この本の内容のとおりに子どもに話をしなければいけないわけではなく、実際の生活場面でも話のきっかけはいくらでもあるからです。
- パパはなぜたくさん食べるのか?
- 水を出しっぱなしにしていいの?
- 部屋は誰のもの?
- 絵や写真をみて綺麗だと思うのはどうして?
- なぜ嘘はついてはいけないの?ついて良い嘘はある?
- 自分が悪いことをしたのになぜ怒っているの?今どう感じているの?
などなど。子どもが自分で考えるようになるきっかけは日常の中にたくさんあります。
大切なのは正解があるわけではないことを親が理解し、すぐに答えを教えるのではなく答えを子ども自身に導き出させることです。
子どもたちに「質問をする能力」を親は求められています。
議論したくなる
最近、小3の息子とは口喧嘩になることがとても多いです。難しいことは要求していないつもりなのですが(「宿題しないさい」程度)「なぜ今なの?」と言われ「夕方出かけるからだよ」「土日はサッカーの試合なので今他の勉強も終わらせたいからだよ」など、説明が本当に大変なのです。
素直に従ってくれればよいのに…といつも思ってしまいます。
ただそこは逆転の発想で、「なぜ今やらなければいけないのか」を理解して行動できれば強いですよね。
「今しないと決めたなら、今しない理由」を、怒りの感情なしで説明できるようになってくれたら良いです。
少し話はズレましたが、「喧嘩になるから議論したくない」ではなく建設的な議論ができる環境を家庭の中で作れれば、社会に出ても役立つ能力になるのではないでしょうか。
まとめ
以上、「5歳からの哲学」を読んだ感想を書いてみました。すべての項目を子どもと話し合うにはボリュームが多いですが、エッセンスだけでも頭に入れておくと良いと思いました…!
気になった方はぜひ手にとってみてくださいね。
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