『子どもへのまなざし』を読んだ感想、レビュー<育児書100冊チャレンジ>

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今回読んだ本は佐々木正美著『子どもへのまなざし』です。育児書として大変有名な本ですね。

 

著者について

佐々木正美さんは東京大学やブリティッシュ・コロンビア大学で精神医学・児童精神医学を学んだ児童精神医学の専門家です。子育てについてたくさんの本を出されているので、一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。児童臨床医も経験されたことがあり、実際の母・子の悩みについて長年相談にのってこられた方です。

今回紹介する『子どもへのまなざし』は『続・子どもへのまなざし』と『完・子どもへのまなざし』の続編がありますが、第一巻で出た質問への回答や発達障害、引きこもりなど、新たな社会問題をテーマとしたものとなっています。

子育ては何より<乳幼児期の基礎>が大事

「子育てはいつからでもやり直しがきく」という話を聞いたことはありませんか?自分の子育てのやり方が間違っていたときには修正すればいい。確かにそうなのですが、乳幼児期こそ、人としての基礎が育つ時期で、かつ乳幼児期をやり直すことはほぼできないのが難しいところです。

やり直しがきかないとはどういうことかというと、大きくなってから「もう一度保育園からやりなおそう」とか、愛情が不足していたようだから、抱きしめて膝まくらをして寝かせてあげようとか、そういうことはできないということです。

乳幼児期に人、特に親との信頼関係が育っていないと、その先大人や友だちを信頼することができず、社会でうまく生きていくことに困難を抱えやすいと言います。

著者は、乳幼児期の子育ての重要性を訴えています。そして、乳幼児期、特に0~2歳くらいまでの子育てで大切なことについて、以下3つのことを挙げています。

  1. 可能な限り、子どもの要求を満たしてあげる。
  2. 子どもの「ありのまま」を受け入れる。
  3. 子どもを見守り、人間としての誇りの感情を育てる。(ソーシャルレファレンシング)

子どもの要求にこたえる

➀子どもの要求を満たしてやるように心がけながら育てる

佐々木先生は、「子どもの望んだことはすべて叶えてあげると良い」という立場をとっています。子どもの要求をすべて聞いていたら、子どもがわがままになるとか、手伝ってもらわないと自分でやらない子になるのではないかというと、「そういうことは一切ない」そうです。

私がこの本を読んで一番衝撃を受けたのはこの部分でした。読んだ当時は息子が4歳、娘が2歳。もっと早く知りたかったです。

子どもの要求、期待、希望に応える ⇒ 子どもの安心感、親への信頼感、自己効力感が育つ。

子どもの要求にやりすぎるくらいに応えてあげることで、子どもは気持ちが満たされる。安心する。親を信頼する。「自分は守られて大切にされているんだ」という自己肯定感を持つ。「お願いしたことを聞いてもらえた」という自己効力感を感じる。逆に、禁止されると虚しさや不信感、何を言っても無駄なんだという自己否定感を感じてしまうそうです。

幼児期であれば子どもが小さい分、抱っこしてほしい、外で遊びたいなど、要求が単純であり、かつ思い切り手をかけることができる時期だともいいます。子どもが2歳くらいまでそうした育児を心掛けると、その後の育児がとてもスムーズだといいます。

もし乳児のときに不足があれば、幼児期に満たしてあげる。なるべく早く補ってあげることで、児童期、思春期に不足による問題や障害をそれほど残さないで済むといいます。乳児期、幼児期に手をかけることで後が楽になるのであれば、後に手がつけられなくなるよりも何倍も楽なことですよね。

「親はライフサイクルのどこかの時期で、いちどは思い切り子どもに、心や手をかけなくてはならないのです。子どものだすサインを正確に読み取ってやれば、子どもは順調にのびていきます。」

 

では実際、子どもの要求をすべて満たしてあげられるかというと、そうではありませんよね。急に「旅行に行きたい」「〇〇ちゃんと遊びたい」と言われても、できないことももちろんあるわけです。親はその都度、どの要求なら満たしてあげられるかを取捨選択をします。

選択に迷ったら、<親自身にしかできないことをたくさん聞いてあげる>のが良いそうです。一緒に遊んであげるとか、子どもの大好きなおかずをつくってあげるとか、絵本を読んであげるとか。お金をかけずにできる方法で良いそうです。私自身も、ディズニーランドに家族で行ったことよりも家でみんなで人生ゲームをしたことの方が楽しい思い出として残っています。親が子どもと何かをして遊ぶ体験をつくれると良いですね。

子どもの望んだことをやりすぎるくらいに手をかけてあげると、不思議と金銭でものをねだるということがなくなるそうです。不思議ですね。

では本当に自分では何もできないわがままな子にならないの?という部分にも、答えが書かれています。

子どもの望んだことを満たす = 過保護はOK
子どもが望んでいないことをやらせすぎる = 過剰干渉となりNG

子どもは本来的に自分でやりたいという気持ちを持っているそうです。子どもが自分でやりたいと思っているにも関わらず、やってあげてしまうことが過干渉です。難しい線引きですよね。迷ったら、子どもが何を望んでいるのかを考えてみれば良いかもしれません。小さいときは過保護にやってあげていたことが、成長して大きくなったら過剰干渉になってしまったこともあるのではないでしょうか。

過干渉はNG、過保護はOK。これを覚えておいてくださいね。

➁子どもの「ありのまま」を受け入れる

「人間というのは、どこかで全面的に受容される時期があればあるほど、安心して自立していけるのです。」

人間、誰しも良いところもあれば欠点や弱点もあります。勉強はできないけれど思いやりのある子、スポーツはできるけれど整理整頓ができな子など、人それぞれです。

欠点や弱点はそのままでいい、と言います。好きなことを思い切りすればよく、苦手なことは親が手伝ってあげて良いそうです。

佐々木先生は、子どもがテストで悪い点数をとっても怒らないけれど、良い点数をとっても大して褒めないそうです。私にはその発想はなかったので驚きました。「ありのままでいいんだよ」、という究極のメッセージですよね。

「このままの私でいいのだ」という安心感が子どもの自信へとつながります。つい「〇〇ができて良い子ね!」と言ってしまうときもあるのですが、本来子どもが可愛いのには条件がないはず。条件なく子どもを認めてあげる。するとその人を信頼するようになる。親を通して、親以外の人も子どもは信頼するようになる。そうして子どもは社会に入っていけるのだということに気が付かされました。

ハート

 

➂子どもを見守り、人間としての誇りの感情を育てる。(ソーシャルレファレンシング)

本書では「ソーシャル・レファレンシング」という概念にも触れています。「ソーシャル・レファレンシング」とは、乳幼児精神医学の世界的な第一人者、コロラド大学のロバート・エムディという人の言葉で、人間の社会的存在としての基盤をなす、高度な感情や感性のことを言います。人間が社会的なルールを守りながら生きていくために重要な感情でもあります。

「ソーシャル・レファレンシング」はどのように育つかと言うと、子どもがまわりの人の教えや行動を参考にしようとすることで育ちます。大人が子どもを見守もることが必要というわけですね。

幼い子どもが、はじめて出会ったことにたいして、「どうすればいいのかな」と振り返ったとき、親や祖父母や保母さんや幼稚園の先生などの視線が、必ず見守ってくれていて、そして、どうすればいいのか教えてくれる。

幼い子どもにとっては、世界ははじめて出会うことだらけです。そのときにどのように反応すればいいのか、大人を参考にして真似します。また、子どもと感情を共有してあげる。

乳幼児期は子どもから心と目を離さずに育てることが、人間社会で生きていく基盤の感情をつくる、ということですね。

見守る

社会に生きるということ

社会の仕組みがどんどんビジネス化してきているように感じます。学校もビジネス、介護もビジネス、ちょっとしたお助けもビジネス。地域社会で「助けてあげる」「助けてもらう」ということがどんどん減ってきているように思います。「自己責任」という言葉もよく聞かれるようになりました。

佐々木先生は、そうした社会の変化を嘆いているように私は感じました。子どもを育てるときには、子どもが迷惑をかけ・かけられ、人のみならず地球環境にまで、思いやりの気持ちを持って育てて欲しい、という願いを強く感じました。

 

地域社会に生きる

子ども同士が「育ちあう」ということ

子どもは、親や習い事で出会う大人とだけでは育ちません。子どもたちは「育ちあう」のだそうです。遊びを通して、子どもは自分の考えが相手と異なることもあることを理解し、自分の役割や行動を決め、臨機応変に対応していけるようになります。

子どもたちが放課後一緒に遊ぶことがどんどん減っています。習い事に忙しい子が多いです。遊ぶ場所もどんどん減っています。相手の親が見えないことも多く、子ども同士遊ばせることに気が引けることもあります。

最近、小3の息子は近所の子を誘い合って河川敷で4,5人、多いと8人くらい集まってサッカーをしています。見ていると、経験者と初心者をうまく分けてチーム編成を考えたり、作戦を立てたり、オリジナルルールをつくったりと、とても良い遊び方をしているのです。何より思い切り体を動かすことで、皆いきいきとしています。本来の遊びとはこういうことなんだろうなと見ていて感心しました。そして、子ども同士が遊び学び合う大切さを改めて実感しました。

こうした子ども同士の関わりから、物事を調整したり、他人を理解する能力が養われていくのではないでしょうか。

人との関わりの中で子どもは育っていく

繰り返しになりますが、子どもは一人で育つのではありません。また、家庭だけで育つのではありません。地域社会、学校、習い事も含めてたくさんの人と関わって生きています。

迷惑をかけることもあるし、かけられることもある。助けてあげることもあるし、助けられることもある。そうした人間の「社会性」がどんどん失われていることに筆者は危惧しているように感じました。

「楽しい」「悲しい」「嬉しい」など、様々な感情を人と分かち合う。一緒に悲しむ。人を尊敬する。人に感謝をする。

「人と関わって生きる」ということを、もっともっと子どもに教えていきたいと思いました。

まとめ

他にも「しつけについて」、「思いやりについて」「思春期について」「不登校について」「親自身が幸せになること」など、書ききれないくらいたくさん参考になることが書かれています。自身の子育てで不安に思っているところ、気になった項目だけ読むこともできますので、ぜひ一度手にとってみていただきたい一冊です。何より、読むと温かい気持ちになれるところが私はとても好きです。

最後の「お母さん、お父さんへ」という項目だけでもぜひ読んでみてほしいです!

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

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