『未来のイノベーターはどう育つのか』(トニー・ワグナー著)を読んだ感想、要約。イノベーション教育

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今回読んだ本はトニー・ワグナー著『未来のイノベーターはどう育つのか』です。

自分の子どもにはアイデアを形にできる子になってほしいイノベーションを起こせる存在になってほしい、という方はぜひ一読をおすすめします。日本でのスタンダードな子育てとは大きく違う子育ての方法、学び方に気がつき、新たな発見があるのではないかと思います。

著者について

著者はトニー・ワグナーさんで、ハーバード大学テクノロジー起業センター初代フェロー、ハーバード教育大学院チェンジ・リーダーシップ・グループ創設者・元共同ディレクターの方です。

今回紹介する本では、著者がたくさんのイノベーターをインタビューした結果わかった、彼らに影響を与えた子育て、教育方法についてまとめています。

紹介されているイノベーターたち

「イノベーションとは何か?」と言われると、説明が少し難しいですよね。日本語にすると「革新」という言葉になりますが、世の中に新たなインパクトを与えるモノやサービスのことだと私は思っています。iPhoneなどはその最たる例ですよね。

イノベーションには「斬新的」イノベーション「破壊的または変革的」イノベーションがあると著者は言います。

斬新的イノベーションとは、既存の製品プロセスサービスを大幅に改善するもの。
破壊的または変革的イノベーションとは既存の市場を破壊し、それまで支配的だった技術をお払い箱にする画期的製品やサービスを生み出すもの。

本書ではケーススタディ的に何人かのイノベーターを紹介していますが、STEAM系のイノベーターだけでなく、社会イノベーターも紹介されているところに心動かされました。

iPhoneのプロダクトマネージャーに抜擢されたカーク・フェルプスなど、技術によって革新的な商品を生み出したイノベーターもいれば、シエラレオネにマラリア予防の蚊帳を効果的に配布する方法を考案したデービッド・センゲやウミガメの保護活動家であるザンダー・スローズといった、社会イノベーターも紹介されています。

彼らがなぜイノベーターとなったのか、育った家庭や幼少期の過ごし方、学校で何を勉強したのかを検証しその共通点を明らかにしたのが本書です。それでは、どんな共通点があったのでしょうか。

イノベーター

イノベーターたちの共通点

内的モチベーション

内的モチベーションは、イノベーターに欠かせない資質だと著者は言います。好奇心、人を助けたいという想像力、自分の周りの世界をより良くしたいという関心。自分の関心について満足を得ること、社会の役に立つと感じること。これらが困難を乗り越え努力するイノベーターたちのモチベーションとなっていると言います。

世の中を良くしたい、もっと便利にしたい、もしくは自分のアイデアを形にしてみたいという欲求は、本来的に誰しもが持っているものです。イノベーターたちは、そうした気持ちを大人になっても持ち続けた人たちです。

大学で学ぶ

私も学生時代にいろいろな本を読み、考えを巡らせたことを久しぶりに思い出しました。あのときの気持ちをもっと大事にしていれば、思いを実現する方法論をもっと学んでおけば良かったな、という後悔もあります。イノベーターたちがそうした方法論を学んだのは問題解決型の授業を行う大学ででした。

大学の役割と指導者の存在

イノベーターたちが大学でどのように学んでいたかを調べてみると、次のようなキーワードがあったそうです。

分野横断的、問題解決型、実践的なコラボレーション環境

学校教育とは、基本的には丸暗記による知識伝達の場です。子どもたちは学校でたくさんのことを暗記させられます。暗記中心の学校教育は子どもを無気力にしてしまう、とまで著者は言います。

イノベーターを生んだのはそうした暗記型の授業ではなく、問題解決型で、かつ分野横断的な取り組みをする大学の授業でした。

「この問題を解決するためにはどうすればいいのだろう?」という問いをたて、学生たちはのそれぞれの知識を総動員し、ときに自身の専門分野外から知識を得、仲間と協力して試行錯誤しながら問題解決に取り組みます。こうした授業の枠組みがあれば、社会で即実践可能な技能が身につきそうですよね。

よく考えれば、小学校~大学までただただ知識を詰め込むだけの授業を受けて、いきなり社会で活躍できる人なんていないですよね。企業家になりたければ、企業に関する知識も身につける必要があります。人と協力するコミュニケーション能力も必要ですし、知識や技術を実世界で活用する方法を学ばなければいけません。日本の大学で不足しているのはこうした部分だなと強く感じました。

大学

また、このような授業ができる指導者も限られているといいます。高い専門知識を前提として、持っている知識をどう応用するか、もしくは自分の持っていない材料をもってきて、チームでどう問題を解決するかを教えてくれる教師たちが、イノベーターたちを育てています。尊敬できる恩師との出会いが人生の中であることは、素敵なことですよね。

私自身のことを思い返してみると、大学ではいろいろな講演会や、社会人による授業があったと思います。私は実社会を知ることができる社会人による授業の方が好きでしたし楽しかったことを覚えています。ですが、自身が学んだことを社会でどう役立てていけばよいのかは、とうとうわからずに卒業したという気持ちが今でも残っています。そのうちやりたいことが見つかるはず、と思っていましたが、イノベーターの多くは幼少期に自分の好きなことを見つけていたと言います。自分の好きなことの見つけ方は、家庭での過ごし方に大きく関係しています。

イノベーターを生む子育て方法

イノベーターの多くは、遊びを通じて学ぶモンテッソーリの学校に通っていたという共通点があるそうです。イノベーターの親たちは、子どもを自由にたくさん遊ばせたそうです。遊びに熱中し、自身の興味を育て、それが成長に従って情熱へと変わり、やがて目的意識へと進化していくのだそうです。

「自由に遊ばせた」と言いますが、自由に遊ばせた=ゲームを好きなだけやらせたとか、家庭のルールを無視して好き勝手に遊ばせたという意味ではないことに注意が必要です。

遊ぶ子供

自由に遊ばせるとは、自分で遊びを考え、冒険し、思考錯誤すること。土や粘土遊び、水遊び、体を動かすこと、縄をいろいろな形や用途に変えること、自分のイメージを形にできるLEGOなどなど。想像力を養う遊びのことを指すのだと私は理解しました。

おもちゃは確かに便利ですが、遊び方が決まっているおもちゃでは、その枠から出て想像力を広げることが難しいです。おもちゃはシンプルでいい、という意味をやっと理解できたように思います。

最後に、読書。読書も子どもにとってとても重要な意味があります。読書はたくさんのインプットをくれますし、自分では体験が難しいこと、異なる時代のことを追体験することができます。読書の時間を生活の中でつくれるようにしたいなと改めて思いました。

まとめ:成功するイノベーターに欠かせない資質

成功するイノベーターに欠かせない資質を、著者は下記のようにまとめています。

  1. 好奇心
  2. コラボレーション
  3. 関連付けまたは統合的思考
  4. 行動志向と実験志向

イノベーターは詰め込み教育からは生まれないのだ、ということに納得させられる内容でした。専門的な深い知識はもちろん必要ですが、それだけではなく、分野横断的な思考と行動力が必要で、それを学ぶ場をどこに選ぶかについても考える必要がありそうです。

今の日本にそんな場所があるのか?調べてみたくなりました。

『未来のイノベーターはどう育つのか』を読んだ感想

「勉強するよりも自分の興味のあることを探す方が大事」という言葉が心に残りました。

自分の子育てで、子どもの好奇心を育てることができているか?好きなことを見つける手助けをし、応援できているか?良い環境を与えることができているのか?などたくさんのことを考えさせられました。

イノベーターの親たちは、習い事で一週間を埋めるようなことをせず、子どもが息をついて、イマジネーションを広げる時間を与えていた、と言います。勉強ができることや技能が高いことがすべてではないし、それが成功に導くとは限らないということがはっきりわかる本だと思いました。

子どもの教育についての見方が変わるかと思います。気になった方はぜひ一読をおすすめします。

 

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