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今回読んだ本は鈴木有紀著『教えない授業』です。
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著者について
著者は鈴木有紀さんで、愛媛県美術館の学芸員の方です。2013年からは県内の小中学校等と連携し、「対話型鑑賞」の普及に取り組んでいるそうです。
対話型鑑賞とは?なぜ主体的な学びにつながる?
本書のテーマは「対話型鑑賞」です。小学校(~高校)での新しい学習法として、この「対話型鑑賞」が注目を集めているといいます。
本書では小学校での授業例が主に掲載されています。対話型鑑賞の進め方ですが、まず美術絵画を子どもたちに見せ、子どもたちに絵の中に発見したことや思ったことを発言してもらいます。また、他の子どもたちの意見に耳を傾け理解を深めていく手法です。対話型鑑賞は、子どもたちの主体的な学びを引き出す効果があると著者は主張しています。
対話型鑑賞の4つのプロセス
「対話型鑑賞」には4つのプロセスがあるといいます。その4つとは、「見る・考える・話す・聞く」です。
「どこからそう思う?」の問いかけ
「対話型鑑賞」にはナビゲーターが存在します。対話を進める司会者ですね。本書を読んで、「対話型鑑賞」が実りあるものとなるかはナビゲーターの能力にもかかっているように感じました。ナビゲーター向けの注意事項も、本書の中で説明があります。
ナビゲーターが気を付けるべきポイントの一つに、「どこからそう思う?」という問いかけの方法を使うこと、というのがあります。生徒たちに絵を見てどう思ったのかを発言してもらうとき、「どうしてそう思ったの?」と聞くのではなく「どこからそう思ったの?」と聞くよう、ナビゲーターは指導を受けるそうです。
子どもたちに「どうしてそう思ったの?」と聞いてしまうと、絵から読み取れたことを根拠としない、自分の体験をもとにした返答となったり、なぜそう思ってしまったの?と回答者が責められているように感じてしまうことがあるからだそうです。
「それは絵のどの部分からそう思ったの?」という言い方にすることで、「絵のこの部分がこうだから、こう思った」と絵の中に描かれていることを根拠として回答してもらうことができるということですね。論理的に考える能力や表現力が身につきそうです。
主体的な学びにつながる理由
「絵を観察して、どう思った?」と聞くのは、つまるところ【答えのない問い】です。絵を見てどう感じたかは、参加者は自由に回答できます。絵が描かれた背景に関する情報はとりあえず無視してOKだそうです。(絵の知識についてどう扱うべきかについては後述します。)
「なぜそう見えたのかな?」という問いかけは、自分への問いかけでもあります。対話型鑑賞は自分で問いを見つけ、自身で答えを見出すプロセスになるのだと、私は理解しました。また、他者の発言を聞くことで、物事には多面性があること、人によって見え方が違うことに気がつくきっかけともなります。「知りたい」という好奇心も刺激されます。「対話型鑑賞」というプロセスを経て、主体的に学ぶ姿勢ややり方を会得できるということなのではないでしょうか。
文部科学省の学習指導要領 第4章総合的な学習の時間 第1目標には以下のように書かれています。
横断的・総合的な学習や探究的な学習を通して,自ら課題を見付け,自ら学び,自ら考え,主体的に判断し,よりよく問題を解決する資質や能力を育成するとともに,学び方やものの考え方を身に付け,問題の解決や探究活動に主体的,創造的,協同的に取り組む態度を育て,自己の生き方を考えることができるようにする。(文部科学省HPより)
「自ら課題を見付け,自ら学び,自ら考え」るというと、とても難しく感じます。ですが、「対話型鑑賞」という方法がそれを楽しいもの、やってみればできるものにしてくれているのだと感じました。
絵を鑑賞するための知識は必要?
本書を読んでいて、私は疑問に思ったことがあります。それは「この対話型鑑賞のやり方では正しい絵の解釈、絵の見方をする能力を削いでしまうのでは?」ということでした。
絵というのは、ある程度正しい見方というのが存在すると思っています。例えばホルバインの『大使たち』という絵。 博識そうで立派な大使たちの足元に、絵を別の角度から見るとドクロが描かれているのがわかります。「メメントモリ(死を忘れるな)」、というメッセージが込められていることがわかります。また、絵が描かれた理由や時代背景なしでこの絵を語ることができないでしょう。
ほんの一例ですが、こうした絵に関する知識はどう取り扱うのか?というのが疑問でした。その答えとして、著者は「その場で必要ならば、絵に関する知識や情報を子どもたちに与える。子どもたちの背中を押す情報ならば提供する」というスタンスをとっています。対話後に必要であれば、知識として与えればよい、ということですね。
正解があると、「対話型鑑賞」では子どもたちから手が挙がりにくくなってしまうそうです。それは当たり前ですよね。正解と違う発言をしたい子はあまりいないでしょう。作品について話し合った後、もし「もっと知りたい!」という思いが子どもに見られるようであれば、自分で調べられるように知識を提供する、というやり方なのだなと理解できました。
日本では美術品鑑賞のメソッドを教えることは一般的ではありません。「対話型鑑賞」と「美術品を深く理解するテクニックを知る」ことは別立てで考える必要がありそうです。「対話型鑑賞」を経て、子どもたちが美術品鑑賞への興味も深めていってくれたらなお良いのかなと感じました。
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ビジネス界への応用
本書では詳しく語られませんでしたが、ビジネス界にも「対話型鑑賞」の応用は広がっているようです。
昔話をしますと(といってもほとんど勤めていないのですが)、私が独身時代に勤めていた会社が合弁会社だったため、出身会社の違いで価値観がバラバラでコミュニケーションがとても難しかった、ということがありました。ほとんどの人が上司や相手の親会社を気にして発言するために、フラットに会話することが少なかったように思います。トップダウンで物事が進むことも多かったように思います。
ビジネスの現場でも主体的に考え、解決策を見出すことは必要な能力です。「対話型鑑賞」には観察力・批判的思考力・言語能力・コミュニケーション能力を育む効果があると言われているため、「対話型鑑賞」を研修に取り入れる企業が増えているのは納得です。
まとめ
最近、夜ご飯の後~寝る前までの時間に、子どもとあるトピックを立てて話す機会を設けるようにしています。先日したのは「あなたは今スペインに住んでいます。飛行機はありません。船はあります。どうやって日本にたどり着きますか?」というトピックでした。息子は「北上して北極を通り船で日本へ行く」と回答しました。ですが、きっとこの航路は実現不可能な航路です。なぜダメなのか、一緒に考えました。本人はとても楽しかったようです。(私は知識不足で内心ヒヤヒヤしていましたが。)
子どもと話をする内容は、案外なんでも良いのかもしれません。子どもが疑問を持ち自分で考えることができれば良いのです。
また、「対話型鑑賞」は「こども哲学」のやり方にも似ているように思いました。
子どもたちのリアルな反応が掲載されていて、読んで(聴いて)いてとても楽しい本でした。ぜひ手にとってみてください↓
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