『去られるためにそこにいる』田中茂樹著を読んだ感想。親子の心理臨床、カウンセリング例

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今回読んだ本は田中茂樹著『去られるためにそこにいる 子育てに悩む親との心理臨床』です。

著者は医師であり臨床心理士として、親子の心理カウンセリングに取り組む中で出会う患者親子の悩みを”よくある例”として紹介してくれています。子育てに関する悩みは数多くあるように見えて、原因は実はシンプルなのかもしれないと感じました。

親子関係や子どもとの関わり方に悩んでいる方にぜひ読んでほしいです。

私はAmazonの電子書籍読み放題サービスKindle Unlimitedで読みました。おすすめです。

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著者について

著者は田中茂樹さんで京都大学出身、医師、臨床心理士の方です。大学教授、心理臨床センターでの勤務を経て奈良県の診療所にて地域医療、カウンセリングに従事されています。

その他、著書に『子どもを信じること』『子どもが幸せになることば』などがあります。

 

親子の心理カウンセリング。問題行動はどうすれば治る?

著者は地域の診療所での外来診察や訪問診療を仕事にしており、子どもの問題で相談にきた親との心理面接を何度も経験しています。そうした「とある親子の問題」を、本の中で多数取り上げています。

家庭の問題は、外部からはわからないものです。うまくいっているように見えても親子関係が実はギスギスしていたり、あるいは、不登校や引きこもりの子どもに悩む親もいます。「そんなとき、どうしたらいいんだろう?」「もし親子関係で悩む日がきたら?」と思う方はぜひ本書を読んでみるといいでしょう。子どもとの接し方のヒントがたくさん載っています。

髪の毛を抜いてしまう少女
不登校の少女
物を壊したりマジックで体に模様を描く少年
喫煙で停学になった高校生
反抗期の子ども
進学先に悩む高校生

 

問題行動は子どものSOSだと著者は言います。問題行動は悪いことではなく、子どもが「自分は辛いんだ」と気持ちを表現してくれていると考えれば、対処法も違ってくるのではないでしょうか。

ストレスはいろいろな形になって現れます。外側に向かうこともあれば、内側に向かうこともあります。もしくは脱毛や鬱など、体の不調となって現れます。

以下、引用です。

弱音を吐ける、自分を許せる、SOSを発することができる、そういう部分も、幸せに生きていくために子どもが身につけるべきスキル

辛いときは辛いと言える。親に依存することで安心を得て、自立していけるようになる。

親子カウンセリングで共通しているのは、親が子どもの気持ちを理解したかどうか、なのかなと思いました。「どうしたの?」「それが嫌だったんだね」と気持ちに共感してあげることで、子どもが落ち着いた例が多かったように思います。子どもは必ずしも親が自分の問題を解決してほしいとは思っていません。ただ、話を聞いてほしいのです。

父と子

子どもとの接し方のヒント

小言を控えてみる

著者は、「はじめに」の中で「子どもへの小言を控えること、子どもを導こうとするのをいったんやめてみること」をクライエント(患者)に提案したところ、上手くいくケースが多かった、と述べています。

この提案を聞くと、多くの相談者は「親が小言を言うのをやめてしまったら、子どもは朝起きれないし、ご飯も食べないし、勉強もしなくなるじゃないですか!」と言うそうです。親も言いたくて言っているわけではないですよね。できないから、言うんです。でも、今までずっと子どもに命令をしてきたなら、数週間くらい言わなかったらどうなるか、やってみましょう、と説得された相談者の何人かは、子どもに小言を言わないように気を付けて生活してみるそうです。

結果、どうなったかは読んでいてとても面白かったです。

朝は起きない。準備はしない。片付けはしない。でも、「小言を言っていたときと比べて、生活は何も変わらなかったんです!」という話には思わず吹き出していまいました。小言を言っても、言わなくても、何も変わらないなら言わない方がお互いにとって良いですよね。

子どもにも意思があります。いつ何をするかは自分で決めるべきことです。全部が全部子どもに決めさせていたら生活できないのも確かですが。子どもが決められる幅をもたせ、少しずつ子どもに何をするかについての権限を移譲していくと、うまくいくことが多いようです。

親は話を聞くだけでもいい

カウンセリングに来るお母さんたちは、子どもが可愛くて仕方ないんだろうな、と感じました。ついついお世話をして、余計なことを言ってしまう。私もそうです。「靴は揃えたの?」「手は洗ったの?」「宿題したの?」と日頃言ってしまいますが、子どもは聞きたくないし言われたくない言葉なんだろうな、と読んでいて感じました。

先日、息子が月曜日にもっていくはずの体操服が「ないない!」と朝叫んでいました。でも、体操服をいつも洗濯が終わってからある場所に持っていったのは彼です。「自分でどこかに持っていったんでしょ!」。つい言ってしまいました。でもないからお母さん探して!なんて息子は一言も言ってません。自分で持っていった自覚もあります。余計なことを言わないって、難しいです。

別の日の夕飯中。息子が給食中に前の席の女の子に足を蹴られるんだ、止めてって言っても止めてくれないんだ、という話をしてくれました。そうなんだね、と言って主人が「もう1回言ってみて、ダメだったら先生に言いなさい」とアドバイスしますが、息子は乗り気ではありません。自分で不自然にならない程度に席を離してみたり、足の置き方を工夫しているようでした。これもただ話を聞いて欲しかっただけなのかな、と後から思いました。息子の性格からして、解決したかったらすでに先生に言っていると思います。本当に放っておいてはいけない問題ももちろんあると思いますが、子どもが話をしてくれたときは、まずは「話してくれてありがとう」「そういう気持ちだったんだね」と受け止めてあげるのが大事なんだと思います。

息子

家庭がリラックスの場であるべき

もう1つ大切なこととして、著者は「家庭がリラックスの場であるべき」だと述べています。

学校は勉強するだけでなく、同年代の子どもたちと共に生活し社会性を身につける場所です。子どもたちは私たちが考えるよりも疲れていると思います。

疲れて帰ってきて、もし家庭が安らげる場所ではなかったら、子どもは常にストレスを抱えたままです。

私もできるだけ笑顔で、機嫌よく、小言を控えようと、改めて思いました。機嫌の悪い日もどうしてもあるとは思いますが。

感想:子どもはいつか自立していく

「子どもは一人ひとりが、自分を幸せにしようとする、いわば本能のような強い力をもって生まれてきている。そのことをこころに留めて子どもに接すると、子どもの成長を邪魔することを避けることができる。また、こどもを見守る力が親に育つ。」

日本は親と子がなかなか離れづらい社会だそうです。欧米では、成人したら家を出て一人暮らしをし、自分で生計を立てるのが一般的。比べてアジアでは実家暮らしをする成人が多く、引きこもりや晩婚化の原因となっているそうです。(『日本の少子化対策はなぜ失敗したのか?』山田昌弘著より)

子どもには反抗期が何度か訪れます。反抗期のたびに、子どもは親から自立することを学んでいきます。成長に合わせて少しづつ離れるけれども、いつも「見守っている」。そんな子育てが自分にもできるといいなと思いました。

今回読んだ本は田中茂樹著『去られるためにそこにいる 子育てに悩む親との心理臨床』です。私が読んだときはAmazon KindleUnlimited対象でした。

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